ビジョン発見の物語だったリッチマン、プアウーマン2012/09/22 07:18

いや、月九を侮っていました。

リッチマン、プアウーマンはビジネス側面とロマンス側面が程よいバランスで、特にビジネス編がよく描かれていて良い、と思っていました。が、第10話を見て、ああ、最終回はドラマの王道のロマンスベタベタの回なんだろうなあ・・と思ってしまっていましたが、そうではなかった。
最終回にこそ、ビジネス編の真髄が描かれていたのでした。

<他者との関わりの拒否>
この日向徹という人物は過去の体験から(と言い切ってしまおう)他者との本当の関わりを拒否してきました。
他人の顔や名前を覚えられない(覚えたくない)、というのは、覚えなければいつかいなくなってしまっても、そもそも覚えていないのだからショックでも何でもない。
他人の気持ちを忖度することもしたくない。
だから、”他人があたふたするところを見るのが楽しい”という発言も出てくる。だって、他人の気持ちまで思いやっていたら、その人に入り込んでしまうから。

<胡散臭い会社>
飛ぶ鳥を落とす勢いだったネクスト・イノベーションも、その実、面白ければ良い、儲けられれば良い、という会社だったのです。
少しは進化したワンダーウォールにしても、”お金は大事。仕事は何でもする”会社にとどまっていました。
まだまだ”胡散臭い”会社のカテゴリーにいたわけです。

<ビジョンの発見>
ところが、全てを失って(実は、何も失ってはいなかったのですが)色々と考えた結果、自分の、会社のあるべき姿に思い至った。
実に、ここにこの物語のクライマックスがありました。
2週間で仕上げなければならない実証実験の準備の真っ最中に、ヘルプに来てくれた山岡・・じゃなくって安岡に対して、そしてメンバーに対して宣言する”この仕事は大切な人の傍に寄り添うことが出来るようにすることなんだ”というビジョン。
ここでようやくこの会社のビジョンが確立した。まさにこのシーンこそがこのストーリーのハイライトでした。

ここに思い至ったことで日向徹も変貌し、他者との関わりを恐れることをやめ、全員の名前を言うことが出来るようになった。
そして、空港でのシーン。
”18,590キロ?そんなの関係ない!関係なくすることが僕の仕事なんだ。”という科白につながってきます。

<復活ではなく進化の物語>
一見、どん底に落ちて、そこから復活する物語のように見えましたが、実は会社の、自分のあるべき姿を明確にするビジョン発見の物語だったのでした。
ビジョンのない会社は長続きしない、と言われます。
30年後にも存続する会社を目指して、”日向徹、奇跡を起こせ!”に向けての一歩が記された日でした。

ううむ、特別編の”世界野望篇”でも見てみたい気分です。

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