Nevermoreとは言いたくないが・・有栖川有栖:乱鴉の島2010/08/14 08:17

久々の有栖川有栖です。しかも、あの火村・有栖川コンビです。王道です。
ハードカバーで相当分厚いものなので、普段の通勤では無理、少しは東海道線も空くお盆近くを狙って読みました。昨日なんて、京浜東北の人身事故のおかげで川崎手前で40分近く停車していましたので、たっぷり読めました・・嬉しくないけど。

有栖川有栖の作品は、きっちりと本格の枠組みにあるのに、一見、からりとした明るい感覚が好きです。陰鬱なシカゴに比べてひたすら明るいサンタテレサ・・って、シカゴの方はほとんど知りませんが。

ということで期待して読んだのですが・・

ううむ、どうもいけません。ハーラン・コーベンやらデイヴィッド・ハンドラーやらロバート・パーカーやらの無駄口叩きまくりの作品を読み続けていたせいか、会話に冴えがありません。冗長な雰囲気を感じてしまいます。有栖川の発言も、どうもあまりスマートとは言えず・・
まあ、それでもあっと驚く真犯人が現れてくれて、それを火村が明晰な論理のもとに見事に指摘してくれればいいのですが・・ちょっと反則っぽいです。必然性がない、というか、読者には分からない。

実は、途中で、あのお子たちが実はナニなのではなかろうか、と勘繰ってしまいました。一歩先を行ってしまいましたが、それくらい思い切れば、もう少し納得感も向上したのでは、と思います。

ま、この一作だけでNevermore、とは思いませんが、ちょっとがっかりでした。

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