爽快感を与えないのが流行り?:コーンウェル・前線2010/04/29 16:48

パトリシア・コーンウェルと言えば検屍官シリーズでお馴染みですね。
このシリーズ、作を重ねるごとにボリュームが増して、ついには上下巻になり、その上下巻も相当なボリュームのものでした。
これが一転、この新しいシリーズの捜査官ガラーノの”前線”では200ページとちょっと、検屍官シリーズでで言えば1/4くらいのボリュームです。
持っても軽く、混雑した東海道線の車中でも読み易いです・・

軽いのは物理的な本のボリュームだけではなく、読むのも軽く読めます・・というか、前作の流れを引き継いでいるのですが、今作こそはガラーノがあの人を・・と思わせておいて、そうはなりません。
シリーズで引っ張るつもりなのかもしれませんが、読み手としてはそれを期待したところもあるので、きれいに裏切られてしまいます。
先日読んだグリシャムの”裏稼業”といい、題材は面白そうなものなのに、その料理に手間をかけていない、読者にカタルシスを与えてくれない、というのが流行りなのかもしれません。
とっても困った流行りです。

ガラーノという人物が徐々に書き込まれてきて、深みを持ち始めているとは思いますが、現時点ではどうもイマイチ乗り切れません。

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